
「発進時にエンジン回転だけ上がって車が進まない…」 「半クラの位置が近づいてきた!?」 そんな症状が出ていたら、R56系ミニの“クラッチ交換”が近いかもしれません MINIのマニュアル車は走る楽しさの象徴ですが、クラッチは確実に減っていく消耗品
今回は、R56世代のMINIでよくあるクラッチ系トラブルと、その交換タイミング、費用感までを解説します
※弊社は俗にいう新型ミニ=BMW製ミニ専門の修理工場となっております。ローバーミニ、クラシックミニに関しての修理はお受けできませんのでよろしくお願いします。 また正確には「ミニ」という車の「クーパー」というグレードですので「ミニクーパー」と呼ぶのは車種を指す場合には不適切ですが、文章上小さい・コンパクトを指すミニと車を指すミニの混同を防ぐ為、ここではミニ全般をミニクーパーと呼称します

クラッチは消耗品!違和感があれば交換を検討してください
クラッチと同時に関連パーツの交換も忘れずに
症状:滑り

基本的にクラッチが極限まで劣化してしまうといわゆる「滑り」症状が発生します
・発進時にエンジン回転だけ上がって前に進まない
・高回転時に急に半クラしたように吹け上がってしまう
・クラッチが切れなくてギヤに入れられない
などの症状が出ます
但し、このような症状が出てしまうと基本的にはもう走行NG!
今、走れていたとしてもあっという間に走行不能になってしまいます
大事なのは初期症状
ですので、そうなる前に修理するのが理想的です
そろそろ修理かな?のサインを読み取る初期症状を見ていきます
・半クラッチ(車が動き出すタイミング)位置がかなり手前になる
(クラッチペダルを全部踏んだ状態から、かなり上げてこないと繋がらない)
・クラッチペダルがやけに重くなった
・クラッチを踏む、もしくは離すで異音が聞こえる
(主にシャラシャラ、シャーシャー系)
これらの症状はR56世代でもクラッチ摩耗の初期に起こりうる症状です。
日々乗っていて、感じるようでしたら「そろそろ・・・」を考えましょう!
仕組み:クラッチってどんな構造?

クラッチはエンジンとミッションの間で、動力を「つなぐ/切る」役割をするパーツです
R56系MINI(N12/N14/N16)は乾式クラッチ+油圧レリーズという一般的な構成ですが、
・クラッチディスク
・カバー(プレッシャープレート)
・レリーズベアリング
・フライホイール(クーパーS系はデュアルマスという高機能版を採用)
など複数の部品が連携して動いています

クラッチディスク

カバー

フライホイール

レリーズフォークとレリーズベアリング
対象車種
R56世代(第2世代)の全車が該当します
※MT車両に限る(6MT)

R56 ハッチバック

R55 クラブマン

R57 コンバーチブル

R60 クロスオーバー

R61 ペースマン

R58 クーペ

R59 ロードスター
原因:なぜクラッチが減るのか?
クラッチは“摩擦”で力を伝えるパーツなので、必ず摩耗します。
特に以下のような使い方をすると減りが早くなります
・半クラ多用(渋滞/坂道)
・ラフなクラッチ操作
一般的な乗り方なら5~10万キロの間で交換が必要になるオーナー様が多いです
10万キロ越えてまだであればかなり運転が上手いかと思います!

修理方法と注意点
通常はクラッチキット(ディスク・カバー・ベアリング)一式を交換します
さらに、状態によりフライホイール交換が必要になるケースも
またR56系はレリーズフォークと呼ばれるパーツもウィークポイントの一つ
何れにしろ交換するタイミングはクラッチ交換時だけですので、基本的にはセットで交換をお勧めしています

↑ 折れてしまったレリーズフォーク
その他コラム
費用感と作業日数
• 基本的なクラッチ交換で25万円~
同時に交換するパーツやグレード等によっても金額は大きく変わります

どうせやるなら・・・
正式な純正作業マニュアル上はミッション単体を車両から降ろしますが、小林モータースではより効率化、そして完璧な作業の為にエンジンをごとミッションを降ろして作業を行います
このタイミングは実は超ラッキー!
エンジン廻りのオイル漏れなどもセットで作業すれば工賃をグッと下げる事が可能です。
どうせ「まだ乗るなら!」一気にリフレッシュしてしまうのも手です
まとめ:クラッチは消耗品。症状出たら早めの対応を!
ミニの走りを支えるクラッチ
スムーズな発進や変速ができなくなると、走る楽しさが一気に損なわれてしまいます
「ちょっとおかしいかも?」と感じたら、早めにチェックすることで被害を最小限に抑えることができます
滑ってからでは遅いので、“兆候”を見逃さず、安全なミニライフを楽しんでください!
過去の実績一覧

小林裕太(こばやし・ゆうた)
国家一級自動車整備士
小林モータース株式会社 工場長
欧州車を中心に扱う某輸入車専門店で工場長等を計8年半務める。
豊富な輸入車整備経験によりBenz、BMW、Audiからポルシェ、ベントレー、フェラーリまでヨーロッパ車全般を得意とする。
【店舗情報】
千葉県松戸市の修理工場なら 小林モータース
国産車・外車、メーカー問わず修理可能です
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