
「信号待ちでエンジンがガタガタ…」 「アイドリング中に回転が上下してる気がする」 「でも走り出すと何も問題ない…?」 そんな症状がF56系ミニで出てきたら、もしかしたら“タンクベントバルブ”の不良が原因かもしれません
今回は、知らないとプロでも地味に見落とされがちなこのパーツについて、仕組みから原因、対処法まで分かりやすく解説します
※弊社は俗にいう新型ミニ=BMW製ミニ専門の修理工場となっております。ローバーミニ、クラシックミニに関しての修理はお受けできませんのでよろしくお願いします。 また正確には「ミニ」という車の「クーパー」というグレードですので「ミニクーパー」と呼ぶのは車種を指す場合には不適切ですが、文章上小さい・コンパクトを指すミニと車を指すミニの混同を防ぐ為、ここではミニ全般をミニクーパーと呼称します

エラーコードも出ないため見落とされがちな部分
放っておくと大きなトラブルに繋がりかねない!
症状:アイドリング時のハンチング・チェックランプ点灯
• 停車中のアイドリングが不安定(回転が上下する)
• エンジンチェックランプが点灯
• 走行中は特に違和感なし
という、ちょっと掴みどころのない症状が特徴
点検してもエラーコードが出ないこともあり、意外と見落とされやすいポイントです

仕組み:燃料タンクの“蒸発ガス”をコントロールするバルブ
タンクベントバルブは、燃料タンクにたまる蒸発ガス(ガソリンの揮発成分)を適切にエンジンへ送るための制御バルブ。
通常はエンジンが動いている時にのみ開き、吸気系統へガスを送ることで環境負荷を抑えています。
しかしこのバルブが壊れると、開きっぱなしになったり、閉じっぱなしになったりして、本来の燃調が狂ってしまい、アイドリングに影響を与えます

原因:バルブ自体の故障+パイプ劣化
F56系でよくあるのが、
• バルブの動作不良(内部のソレノイドや弁の劣化)
• 接続パイプの熱劣化により、変形→エア吸い状態になる
というパターン
特にパイプは、熱で柔らかくなって縮んだり、角度が変わることでバルブ接続部に隙間ができ、そこから“エアを吸って”しまうことで不具合が出ることもあります
注意点:エラーコードが出ない場合も多い
「診断機でエラー出てないから大丈夫でしょ?」
そう思っていたら、実はこのバルブが原因だった…というケースは非常に多いです
あくまでエンジンの制御バルブのひとつであり、不良時にも“完全停止”ではなく、“微妙な動作不良”であることが多いため、エラーとして検知されないこともあります
修理内容と対応方法
この症状が出た場合、現場では
• タンクベントバルブの交換
• 接続パイプ類の交換(セット推奨)
が基本対応になります
バルブだけ交換しても、パイプが変形していてまたすぐに再発するケースがあるため、バルブ&パイプセット交換がセオリーです

費用感:比較的お手頃、まず試してみてもOK
作業工賃と部品代込みで2〜3万円前後が目安。
殆どが純正部品代ですので正直言って、全国どこで作業しても金額感に大差はありません。
症状がハッキリしていれば「とりあえず交換してみる」でもリスクが少ない、比較的お手軽な修理ポイントと言えるでしょう
その他コラム
まとめ|アイドリング不調の陰にひそむ“黒幕”かも?
アイドリングが不安定なのに原因が分からない――そんな時はこの小さなバルブが犯人かもしれません
F56系では意外とよくあるトラブルですし、放っておくと燃調が狂い続けて他の不調にもつながりかねません
「走れるから大丈夫」と油断せず、気になったら早めにチェックしておきましょう!

小林裕太(こばやし・ゆうた)
国家一級自動車整備士
小林モータース株式会社 工場長
欧州車を中心に扱う某輸入車専門店で工場長等を計8年半務める。
豊富な輸入車整備経験によりBenz、BMW、Audiからポルシェ、ベントレー、フェラーリまでヨーロッパ車全般を得意とする。
【店舗情報】
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