
「たかが風が出ないだけで、なんでそんなに工賃が高いの?」 「ブロアモーターってファンでしょ?パッと交換できないの?」 ミニクーパー(R56)でエアコン風出ないトラブル、ネットで見たり、見積もりをみてそんな疑問を持ったことがある方は少なくないはずです 実際にエアコンの風が出なくなるトラブルはR56系で多く、原因はブロアモーターと呼ばれる送風ファンの故障がほとんど! しかしこの「ブロアモーター交換」、世界中殆どの車種では簡単に終わる作業のはずが、R56ではなぜかダッシュボードをすべて分解するような大作業になるのです 「こんな整備性の悪い車、設計ミスじゃないの?」 「バカなの?」
そう思う気持ち、正直ごもっとも
でも、実はそこには設計上の“理由”があるんです
※弊社は俗にいう新型ミニ=BMW製ミニ専門の修理工場となっております。ローバーミニ、クラシックミニに関しての修理はお受けできませんのでよろしくお願いします。 また正確には「ミニ」という車の「クーパー」というグレードですので「ミニクーパー」と呼ぶのは車種を指す場合には不適切ですが、文章上小さい・コンパクトを指すミニと車を指すミニの混同を防ぐ為、ここではミニ全般をミニクーパーと呼称します

ブロアモーターを交換するだけでもR56系では大掛かりな作業になる
左ハンドル仕様で設計されたものを右ハンドル仕様にした結果作業性が悪くなってしまっている
R56は「左ハンドル基準」で設計された車

R56は、ドイツを中心とした欧州市場向けに開発されたMINI第2世代モデルです
つまり、設計段階では左ハンドル車を基準にパーツやレイアウトが組まれているんです
その為、左ハンドル仕様であれば、ブロアモーターはサクッと交換できるようで日本円で工賃を出しても数千円で交換可能だそうです
作業は早ければ30分もかからず終了するレベルです

右ハンドル車では “構造上の干渉” が発生する
日本国内で流通しているのは、当然ながら右ハンドル仕様
この右ハンドル車にするために各部反転して再設計するようです
ここでネックになるのがアクセル、ブレーキ、(クラッチ)の位置関係は左右ハンドル関係なく変わらない点
恐らくですがそのペダルの左右のズレが右ハンドル車でサクッと交換できない理由になっているのかと考察しています

何れにしろ一部の内装だけでは取り外しができず、ダッシュボード、フレーム、スイッチ類すべてを分解する羽目に・・・
つまり、「工賃が異常に高い」という事が起こってしまっているんです

結果的に「高くつくけど、仕方ない」構造に
オーナーとしては、
「なんでこんなことで10万円以上もかかるの?」
と感じるかもしれません
でも実際には、
• 作業に丸一日かかる
• 複雑な配線や電子制御類をすべてバラして組み付けなければいけない
といった、“部品代ではなく作業難重度に対する費用”がそのまま反映された結果なのです。

その他コラム
まとめ|日本は左側通行、右ハンドル
MINI R56のブロアモーター交換が、なぜここまで大変で高額なのか――
その背景には、「左ハンドルベースで生まれた設計」や、「安全性・剛性を優先したパッケージング」、そして「ペダル位置との物理的な干渉」などが考えれるかと思います
(あくまで予測と経験で得た知識になってしまいますが・・・)
そう思うと、少しだけ工賃の重みも納得できる…かもしれませんね
過去の実績一覧

小林裕太(こばやし・ゆうた)
国家一級自動車整備士
小林モータース株式会社 工場長
欧州車を中心に扱う某輸入車専門店で工場長等を計8年半務める。
豊富な輸入車整備経験によりBenz、BMW、Audiからポルシェ、ベントレー、フェラーリまでヨーロッパ車全般を得意とする。
【店舗情報】
千葉県松戸市の修理工場なら 小林モータース
国産車・外車、メーカー問わず修理可能です
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