メルセデス・ベンツ W221 S550 エンジンの調子が良くないとのことでご入庫です
オーナー様から症状を伺った段階では、おそらく1気筒死んでいる状態なのだろうと思われました
点検していきます
V型8気筒エンジン搭載なので1気筒ダメなくらいではあまり大きく不調を感じることはないのですが、実際にアクセルを吹かしてみると異常なほどパワー感がありません
変だなと思いボンネットを開けて点検をしてしばらくするとエンジンから煙が出てきました!
明らかにただ事ではありません
色々と点検をしてみたところ、イグニッションコイルのショートが原因ということが判明しました
3番のコイルの不良でした
外装が盛り上がるように溶けて変形し、ひび割れているのもがわかります
イグニッションコイルはスパークプラグに必要な電気を変換するパーツです
スパークプラグはエンジン内部での爆発の火種をつくるために高電圧をかけて自然放電をさせています
だいたい2~3万ボルトの電圧が必要なところ、車のバッテリーの電圧は12ボルトなのでこれを変換する役割なのがイグニッションコイルです
エンジンの調子が悪い原因はだいたいイグニッションコイルにあるのですが、壊れ方としてショートは大変危険です
大概の場合は断線して電流が流れなくなるだけなのですが、ショートは場合によっては別の色々な何かを壊してしまいます・・・
大電圧を扱うパーツなので比較的頑丈にできているのですがご覧のように溶けてしまっているので、異常な高温になっている事がよくわかります
本体側のコネクターも左下が溶けてしまっています
部品を探したのですが国内欠品、本国欠品、中古も見つからなかったのでなんとか再利用します
そしてこちらのコイルのそばのパイプに黒い跡がついています
おそらくイグニッションコイルの割れた部分から絶縁体が溶け出し、火花が散ったものと考えられます
それで黒く焦げて、コイルの樹脂が溶けて付着しています
何を隠そう、このパイプはガソリンのパイプです!
直噴エンジンなので、ポンプで加圧されたガソリンがこのパイプを通っています
ということは、万が一パイプが過熱されたりなんかしてしまったら・・・車両火災の危険性がありました
今回はパイプ自体が傷んでいるわけではなく表面が焦げただけのようなので一安心です
不良があったイグニッションコイルは一つだけでしたが、ショートしたことにより異常な電流がエンジンのコンピューターにかかって、エンジンのコンピューターに行く電源のヒューズが落ちていました
これにより同じヒューズを共有する4気筒分と、センサー10個程度が全部動かなくなっていました
冒頭の異常なエンジン不調へとつながっていたようです
イグニッションコイルとスパークプラグ、ヒューズを交換していきます
高電圧によりエンジンのコンピューターまで故障していた場合相当高額な修理になってしまいます
車に詳しい方ほど「どうせイグニッションコイルでしょ」と侮りがちですが、大きなトラブルに繋がることもあります
交換後、無事にエンジンを始動させることできました
アクセルを吹かして確認してもパワー不足や振動など不調は見られませんでした
その他にも異常がないことを確認してご返車させていただきました
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