BMW MINIクラブマンクーパーS R55 セルモーターは回るものの、エンジンが全くかからないとのことで入庫です
定番の症状かと思いましたが点検をしていくうちに、ちょっと簡単には済みそうにない、気がかりな故障ということがわかってきました
ブログですので点検とメンテナンスが同時になってしまいますが、実際には一通り診断後、お見積りを作成、お客様とお打合せ後、修理作業を進めていきます
エンジンの圧縮圧力を測定したところ、圧縮が殆どない状態でした
この時点でセンサーなどの補器の問題ではなくエンジン内部の問題ということがわかりました
ヘッドカバー(タペットカバー)を開けて、エンジン内部を確認していきます
御覧ください
タイミングチェーンのスライダーが半分欠けてしまっています
かなりまずい状況です
チェーンスライダーはタイミングチェーンのガイドのような役割をします
ですが、欠けてしまったことでガイドがない状態でチェーンが回り、緩むような格好になって恐らくコマが飛んでしまったと考えられます
クランクシャフトの回転をカムシャフトに伝え、それぞれのタイミングを合わせるためのタイミングチェーンがずれて、正常に圧縮がかからなくなってしまい、結果エンジンがかからなくなったということです
問題はこの先です
タイミングチェーンを壊してしまうと最悪の場合、エンジン内部で何が起こるのかです
カムシャフトが動くと吸気や排気のバルブが連動して動きます
反面、クランクシャフトが回るとピストンが上下運動します
このタイミングを合わせることでシリンダ内部の空気を圧縮・爆発させるのです
ただタイミングがずれると、出たバルブと上に来たピストンとが接触してしまうのです
こうなってしまうとバルブが曲がりかなり大がかりなエンジン修理になってくるのです
この時点でどこまで壊れてしまっているかを判別することは不可能ですし、ある程度予算が決まっている中で修理していくので、一旦チェーンとスライダーを交換してみます
これでエンジンが無事かかればバルブやエンジン内部に問題は起きていないということです
車を持ち上げてオイルパンを外してみます
欠けてしまったスライダーが下に落ちてきて大量に溜まっています
落ちて溜まっているだけならいいのですが、オイルポンプにも詰まっています
オイルポンプはオイルパンに溜まったオイルを吸い上げエンジン各部に送る役割なので、もし大きい破片が吸口にくっつき塞いでオイルが全く吸えなくなればエンジンは1~2秒で壊れます
スライダーを新品に交換します
外して新品と比較してみると原型をとどめていないのがよくわかります
タイミングチェーンを張るチェーンテンショナーも壊れています
チェーン自体もここまで伸びていました
およそ一コマ分位でしょうか
今回のスライダー破損は置いておいても、1~2コマ分位ズレてくると実際に不調感を感じ、チェックランプが点灯するレベルになります
スライダー、チェーン、チェーンテンショナーを交換し、タイミングの調整をしてエンジンがかかるかテストしてみます
エンジンは無事かかりました!
が、テスト走行中に突然調子が悪くなってしまいました
あれこれ点検してみて、スプロケットが原因というところに至りました
スプロケットはチェーンからプーリーに回転を伝えるための歯車の部分のことですが、このパーツがダメでタイミングが合わなくなっていると考えられます
オーナー様に状況の説明をし、ここも交換していきます
オイルポンプも同時に交換することになりました
元のパーツも洗浄したのですがどうしてもストレーナーの中にゴミが溜まっていたので、ここまでやるのなら新品に交換します
こちらを組んで、2回目の正直!
再度エンジンがかかることが確認できました!
吹け上がりも良好です!
一度では直しきれずオーナー様には申し訳有りませんでしたが、結果的にきれいに直すことができたと思います!
その他の異常もテスターなどで問題ないことを確認しご返車させていただきました
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