
第2世代のBMW MINI(R56系)は、直噴エンジンならではのパワフルな走りが魅力 しかしその陰で、高圧燃料ポンプ(HPFP)の不良によるトラブルが多く発生しているのも事実です
今回は、症状・原因・修理法まで、整備士目線で解説します
※弊社は俗にいう新型ミニ=BMW製ミニ専門の修理工場となっております。ローバーミニ、クラシックミニに関しての修理はお受けできませんのでよろしくお願いします。 また正確には「ミニ」という車の「クーパー」というグレードですので「ミニクーパー」と呼ぶのは車種を指す場合には不適切ですが、文章上小さい・コンパクトを指すミニと車を指すミニの混同を防ぐ為、ここではミニ全般をミニクーパーと呼称します
症状:エンジン警告灯やエンジン不調

主な症状として、
「エンジンチェックランプが点灯したけど特に不調はない」
「若干アイドリング不良がある」
過去何十台も高圧ポンプ不良を修理していますが、エンジン不調にはならず、特に問題ないが、エンジンチェックランプが点灯しているというケースが多いです
ただ、明確に不調症状(アイドリング不調)が出るケースもあるので壊れ方によってその程度が違うようです
原因箇所と仕組み

高圧燃料ポンプ(HPFP High Pressure Fuel Pump)は、通常のガソリンタンクから送られてきた燃料を、更にエンジンからの動力を使ったポンプで非常に高圧に加圧してエンジンに噴射するためのパーツです
直噴エンジンに欠かせない心臓部とも言える存在ですが、内部の機械式構造が故障すると圧力が保てなくなり、燃料供給不足でエンジン不調を引き起こします
対象車種
R56系MINIのうち、クーパーS(N14・N18ターボエンジン搭載車両)が対象です。

R56 ハッチバック

R55 クラブマン

R57 コンバーチブル

R60 クロスオーバー

R61 ペースマン

R58 クーペ

R59 ロードスター
不具合の原因
高圧燃料ポンプ不良の原因としては、以下が考えられます
・経年劣化・内部摩耗
・燃料内の異物混入
・燃圧制御バルブ(電磁式)の不良
ただし、HPFPは高圧に耐える非分解構造のユニット部品であるため、詳細な故障解析は難しく、基本的には“ダメなら交換”が前提になります

劣化の見極め方

最も多いサインはエンジンチェックランプの点灯です。
このトラブルは徐々に悪化してくるというより、突然表面化することが多いため、チェックランプが点いたらすぐに診断するのが鉄則です
修理方法と推奨対応
基本的な修理方法は、高圧燃料ポンプ本体の交換のみ
リペアや内部修理は不可で、部品供給もAssy(アッセンブリ)単位のみとなります
そのため、そっくり丸ごと交換する必要があります

その他コラム
修理費用の目安
年式にもよりますが15~25万円前後をイメージしてください
またポンプ自体が非常に高額の為、そのほとんどが部品代になります
注意ポイント:Amazon等で売られているコピー品に要注意
現在、Amazonやオークションサイト等で流通している高圧燃料ポンプの多くは、
これらは一見すると純正やOEM品に見えるものの、内部構造・精度・素材がまったく異なり、
具体的には、
• 装着してすぐ始動不良やチェックランプ点灯
• 一見正常でも数週間で再発
といった症状が多発しています
さらに、「すでに交換済み」と判断されることで本来の故障診断がやりにくくなるリスクもあります
まとめ
高圧燃料ポンプの不調は、避けては通れないものの食らってしまった時のダメージが大きいトラブル・・・
パワフルでクリーンなエンジンにする為のパーツですが、
ただ最終的には走行不能まで考えられる部分ではありますので別の所にダメージがいく前に早めの修理をおすすめします!
過去の実績一覧

小林裕太(こばやし・ゆうた)
国家一級自動車整備士
小林モータース株式会社 工場長
欧州車を中心に扱う某輸入車専門店で工場長等を計8年半務める。
豊富な輸入車整備経験によりBenz、BMW、Audiからポルシェ、ベントレー、フェラーリまでヨーロッパ車全般を得意とする。
【店舗情報】
千葉県松戸市の修理工場なら 小林モータース
国産車・外車、メーカー問わず修理可能です
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お客様からのご連絡をお待ちしています
小林モータース株式会社
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